机の上で、架空の工場を一台ずつ建てている。寸法を正確に出すFusion 360、絵と動画にするBlender、その二つを言葉で動かすClaudeだけで作る、実在しない工場だ。これまで旋盤やマシニングセンタ、協働ロボットを据えてきた。今回足すのは、削った面を最後に仕上げる平面研削盤。回る砥石で表面をなめらかにする機械で、工場に「研削」という工程を一つ加える。

研削を担う一台を、工場に足す
これまでの工場には、材料を回して削る旋盤、刃物を回して削るマシニングセンタ、穴をあけるボール盤が並んでいた。「回す・削る・あける」はあっても、最後に表面を整える研削がなかった。今回の平面研削盤は、回転する砥石をテーブルの上の材料に当て、面をつるりと仕上げる。工程の幅が一つ広がる。
本体はおよそ幅1.4メートル、高さ1.9メートル。キャビネットの上に左右へ往復するテーブルが載り、後ろの柱から砥石のついたヘッドが前に張り出す構成にした。
左右対称の部品は「片側だけ作って鏡で写す」
この機械を作るとき、ある動画で覚えた手を使った。砥石を覆うカバーや、ヘッドを支えるリブは、左右が鏡のように同じ形をしている。こういう部品は、右半分だけ作って左右反転でコピーすると、同じものを二度作らずに済む。片側を整えれば反対側も同時に決まるので、形のばらつきも出ない。
これは栓抜きをモデリングする入門動画で出てきた「ミラー」という操作と同じ考え方だ。学んだその日に、別の機械づくりへそのまま応用できた。

砥石を回し、テーブルを往復させる
動かすのは二か所。砥石は軸を中心に回り続け、その下でテーブルが左右に往復しながら、少しずつ奥へ送られていく。研削という加工そのものの動きだ。ただ、のっぺりした円盤は回しても止まって見えてしまう。そこで砥石の前面に3本のスポークのついたハブを足し、回っていることがひと目で分かるようにした。
動画は、静止画を1枚ずつ描いてから別のツールでつなぎ、簡単な和音のBGMを小さな音で添えている(著作権フリー)。
強度ではなく「たわみ」で大きさが決まる
もう一つ、解析の入門動画で覚えた見方を試した。前に張り出した砥石のヘッドに、砥石の重さと加工の力がかかったとき、根元がどれくらいの力に耐えるかを、固定する場所と加わる力から手計算で見積もる方法だ。安全率はおよそ1000と出た。つまり強度には桁違いの余裕がある。
これは現実の機械そのままで、工作機械の本体は壊れる心配よりたわみや振動のほうが先に問題になる。だから本体はあえて分厚く、重く作る。強度ではなく剛さで大きさが決まる、という設計の勘どころが、簡単な計算からも見えてくる。
補足:安全率とは、材料が耐えられる力を、実際にかかる力で割った値のこと。1を下回ると危険、2以上あればまず安全とされる。今回のように1000という大きな数字が出たら、それは強度では設計が決まっていない合図で、別の物差し(ここではたわみや振動)で大きさを決めているということだ。
工場の壁を、おしゃれに作り直す
機械が増えてきたので、背景の壁も整えた。これまではのっぺりした一色の壁だったが、下半分を少し濃い腰壁に分け、その境目にティールの細い帯を一本通した。上半分には縦のパネル桟を等間隔に入れ、床際には幅木を回した。同じ部屋とは思えないほど、工場らしい落ち着いた内装になる。発光や差し色は赤を避け、ティールでそろえている。

最後に、この研磨機を架空の工場に据え、ほかの機械と一列に並べた。寸法は実物どおりなので、中央の6メートル級のCNC旋盤がいちばん大きく、研磨機やボール盤との大きさの違いもそのまま出る。機械が重ならないよう自動で整列させ、足元にはぶたまると白ロボを置いた。
図面や写真がなくても、機械の役割と寸法の見当さえつけば、こうして一台ずつ起こして工場に足していける。営業で20年見てきた機械たちが、机の上で少しずつ工場になっていく。次の一台も、また一本ずつ記録していく。


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