机の上で、架空の工場を一台ずつ建てている。寸法を正確に起こした3Dと、それを動かす映像だけで作る、図面も部品も実在しない工場だ。今回はそこに、メーカーが公開している協働ロボットの外形寸法図から起こした6軸のロボットアームを置き、関節で動かして20秒の動画にした。

メーカーの外形寸法図から、6軸ロボットを起こす
出発点は、メーカーが公開している協働ロボットのカタログだ。そこに載っている外形寸法図を読み、軸の数、最大リーチ(腕の届く距離)、先端の取付面の寸法を拾った。図面を1枚ずつ画像にして、数字を一つずつ確かめていく。
ただし外形図は、ロボットが届く範囲(包絡線)を示すのが主役で、腕の内部の細かい寸法までは載っていない。そこで、読み取った最大リーチを上腕・前腕・手首に振り分け、届く範囲がカタログと合うように組み立てた。実物の図面から3Dを起こすときの、現実的な進め方だ。
関節を面取りし、手首を「らしく」作り込む
最初に組んだ腕は、関節が角ばっていて少しおもちゃっぽかった。実機の関節カバーは、縁が斜めに削られている。これを面取りと呼ぶ。そこで3Dの段階で、関節の縁を45度に面取りして、丸みと精密感を出した。
手首も、一本の筒のままでは物足りない。実機の手首は、ひねる・曲げる・先端の取付フランジ、と役割の違う部分が段になっている。そこを段付きで作り分け、手首が「く」の字に曲がる姿勢にしたところ、ぐっと本物らしくなった。

腕を関節で動かすリグにする
動かすために、腕を関節ごとに分けた入れ子の構造につないだ。土台の旋回、肩、肘、手首──それぞれが独立して回るようにしてある。こうした仕組みをFK(順運動学)のリグと呼ぶ。
一度この形にすれば、あとは関節の角度を時間に沿って指定するだけで腕が動く。順番が肝心で、まず形をすべて組み、次に関節をつなぎ、最後に角度をつける。逆にすると、つないだ瞬間に腕がねじれて崩れてしまう。
20秒の動画にして、小さくBGMを添える
動きは8つの場面に振り付けた。左右に振る、しゃがんで取る、反対側へ運ぶ、置く、手首を振る、伸び上がる、畳む、元に戻る。一つの単調な往復ではなく、作業しているように見える変化をつけた。

これを20秒・600コマとして、一枚ずつ描いた。ここで一つ引っかかった。使っていたツールは、動画を直接書き出せない設定だったのだ。そこで静止画を600枚そろえてから、別のツールでつないで動画にした。BGMは、簡単な和音とアルペジオを自分で合成し、小さな音で添えている(著作権フリー)。
補足:3DソフトやCADは、必ずしも動画を直接出力できるとは限らない。今回のように静止画を連番で書き出し、外部のツールでつないで動画にする方法を知っておくと、環境に左右されずに映像までたどり着ける。
机の上のロボットが「動いた」
公開情報である外形図から、寸法の合う3Dを起こし、関節をつけて動かし、音まで添える。ここまでを、AIとの共同作業で一度に通せた。机の上の工場に、初めて「動くもの」が入った。
次は、この腕に箱をつかんで運ぶ動作を入れ、すでに作ってある搬送ラインと組み合わせたい。図面から起こし、動かし、つなげる。その積み重ねを、これからも一本ずつ記録していく。
その後 — 手を付け、台車に載せ、工場に並べた
この記事のあと、机の上のロボットは少しずつ「現場で使える形」に近づいた。まず、物を掴む2爪グリッパを外形図から起こして手首に付け、開いて閉じる掴む動作まで入れた(詳しくは協働ロボに「掴む手」を付ける)。次に、メーカーが公開する専用台車(架台)の外形図から土台を起こし、ロボットの基部を取付面の中心に実測で合わせて載せた(詳しくは専用台車を外形図から作って載せる)。そして、その一式を旋盤やマシニングセンタの並ぶ工場に置いた。

実寸で並べると、協働ロボは意外と小さい
並べてはっきりしたのは大きさの差だ。協働ロボは架台込みでおよそ1m。対して旋盤は約2m、立形マシニングセンタは約2.7mもある。図面の実寸を同じ縮尺の物差しにして並べると、マシニングセンタが一番大きく、協働ロボは小さくまとまる。カタログ写真だけ見ていると、つい同じくらいの大きさに錯覚しがちだ。

並べる作業そのものも仕組みにした。カタログの実寸を縮尺の基準にして、機械同士が重ならないよう間隔を自動計算する。機械を1台足すときも、実寸を一つ書けば正しい大きさで列に収まる。図面から起こし、動かし、実寸で並べる——机の上の工場は、少しずつ本物の縮図に近づいている。


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