3DCAD技能検定1級に向けて:正確な板部品を「寸法そっくり」に作る4原則

修行中

3DCADは、形が“それっぽく”できても実務では通用しない。寸法がぴったり合っていること、そして余計なフィーチャがないこと。この2つが揃って初めて「使える3Dモデル」になる。技能検定1級の実技も、まさにこの精度を採点する。

今回は、練習台としてよく使う「取付板」を題材に、2つの板部品を作りながら見えてきた4つの原則を整理する。どのCADでも通用する考え方なので、操作手順そのものより、まずこの原則を頭に入れてほしい。

題材は次の2点。

  • ベース板:200×120×15。四隅にφ11の取付穴、中央にφ40の貫通穴。
  • 長穴板:180×100×12。幅12・全長40の長穴を2本、中心線上に左右対称。

原則1:基準(原点)を部品の中心に置く

最初の一手で結果の8割が決まる。外形の四角形を描くとき、部品の中心を原点に一致させること。中心を原点に置くと、四隅の穴も中央の穴も座標が対称にきれいに並び、あとの寸法入力が一気に楽になる。

逆に、隅を原点にしてスタートすると、すべての穴位置が非対称な数値になり、入力ミスと修正の温床になる。土台のスケッチをどこに置くかは、単なる好みではなく精度と速度を左右する設計判断だ。基準は最初に、部品の中心へ。

原則2:対称は「手作業」ではなく「対称機能」で作る

四隅の穴を4回描いてはいけない。長穴を2本、別々に置いてもいけない。1つ作って、パターンやミラーで複製するのが正解だ。

  • 四隅の穴 → 矩形状パターン(縦横に2×2で複製)
  • 中心線をはさんだ2本の長穴 → ミラー(対称軸で反転コピー)

理由は2つある。ひとつは速さと正確さ。ひとつ直せば全部が連動して直る。もうひとつは設計意図が図面に残ること。「これは対称な部品だ」という情報がモデルに埋め込まれ、後から寸法を変えても対称が崩れない。対称な形は、対称の機能で表現する。これは検定でも評価される考え方だ。同じ形を人力で並べた時点で、それは設計ではなく作業になっている。

補足:複製の向きには注意がいる。基準の1つが左下にあるなら、複製は「右」と「上」へ伸ばす。向きが外側を向くと、部品の外に複製されて何も残らない。

原則3:図面にない加工は足さない

面取りの指定がない板に、気を利かせて面取りを付けてはいけない。図面に描かれていない加工を勝手に足すと、体積が変わり、照合が合わなくなる

3Dモデルは「図面の忠実な翻訳」であるべきで、作り手の善意の追加はノイズになる。指定がないなら、付けない。シンプルに保つことが、そのまま精度につながる。足し算より、図面どおりの引き算。

原則4:どの寸法が「体積」に効くかを知る

2本の長穴を作ったとき、位置が多少ずれていても、体積・表面積・外形寸法はぴったり一致した。ここに大事な気づきがある。

  • 穴の“位置”は、体積や外形の数字を変えない
  • 体積を左右するのは、穴の大きさ・数・板厚である

つまり、検証の数字が合わないとき、真っ先に疑うべきは「位置」ではなく「大きさ・数・厚み」だ。どのパラメータが結果のどの数字に効くかを分けて理解していると、ズレたときの原因切り分けが一瞬で終わる。数字が合わない=どこかの“大きさ”が違う、と考える。

仕上げ:作ったら必ず「測って照合する」

最後は感覚で終わらせない。モデルの体積と外形寸法を測り、正解値と突き合わせる。今回はいずれも誤差ほぼゼロで一致した。

  • ベース板:体積335.4cm³ / 外形200×120×15
  • 長穴板:体積205.2cm³ / 外形180×100×12

外形が狙いどおりの数字になっていない場合、まず原点の位置か厚みの入力を疑う。体積だけがずれるなら、原則3・原則4の「余計な加工」か「穴の大きさ・数」を見直す。測って照合するループを毎回回すことが、1級の精度に最短で近づく方法だ。

まとめ

正確な板部品を作る4原則。

  1. 基準(原点)は部品の中心に置く
  2. 対称は対称機能(パターン・ミラー)で作る
  3. 図面にない加工は足さない
  4. どの寸法が体積に効くかを分けて理解する

形を作れることと、寸法どおりに作れることは別のスキルだ。この4原則を土台に、次は円筒・段付きの「回転体」へ進む。

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