Fusion 360をAIと合作で覚える #2 ― スケッチの基礎と、AIが穴あけを引き受けた日

3D/CAD

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前回(#1)は環境構築だった。Fusion 360を入れ、ClaudeとFusionをMCPでつなぎ、私が一文打つだけでClaudeが立方体を作るところまで通した。今回は手で覚える番だ。スケッチの基礎 ― 線を引き、寸法と幾何拘束で形を縛る ― を、センサ取付板を題材に身につける。

連載の軸はここでもぶれない。面倒な反復や、細かくて時間を食う仕上げはAIに渡し、要件と基礎の理解は自分の手で押さえる。「全部AIに丸投げ」ではなく、意味を分かった人間がAIを使う形を、等身大で記録していく。

今回のゴール

スケッチで線を引き、寸法幾何拘束で形を一意に決める感覚を手に入れる。題材はセンサ取付板。形を作り込む前に、まず「形が一つに決まるとはどういうことか」を体で覚える回にした。図面は営業で数えきれず見てきたが、今度は引く側に回る

線を引いて、寸法で「確定」させる

最初に中心の長方形を原点に描いた。中心を原点に取ると、左右・上下の対称が自動で入る。そこへ横80mm・縦120mmの寸法を2つ入れただけで、青かった線が黒に変わった。線の色が青から黒に変わった瞬間が、形が一意に決まった合図だ

試しに120の寸法を150に書き換えると、板が即座に伸びた。これがパラメトリック ― 数字を変えれば形が追従する仕組みで、後でClaudeが「寸法を置き換えて自動で作り直す」のと同じ原理だ。

中心の長方形に横80縦120の寸法が入り、線が黒くなったスケッチ
【スクショ】中心の長方形に横80・縦120の寸法を入れると、線が青から黒に変わる。完全拘束の合図

等しい拘束で、4つの穴を一度に揃える

次は穴だ。四隅に円を4つ、わざと大きさをバラバラに描いた。そこに等しい拘束をかけて4つを連動させ、どれか一つに直径5.5mmと打つ。すると一度しか寸法を打っていないのに、4つの穴がそろって同じ直径になった。1個ずつ4回打つ作業が、1回で済む。

この時点で円はのままだ。大きさは決まったが、位置はまだ自由 ― 色を見れば「何が決まって、何が決まっていないか」が一目で分かる。

等しい拘束で4つの円が同じ直径になったスケッチ。位置は青いまま
【スクショ】等しい拘束で4つの穴を同じ直径に。直径5.5mmを1回打つと全部追従するが、位置はまだ青(自由)

つまずき ― 対称軸が選べない

穴の位置を決めるのに対称拘束を使おうとして、つまずいた。2つの円までは選べるのに、鏡にする原点の緑の軸がどうしても選べない。線の上にカーソルを置いても反応せず、操作を案内する吹き出しが軸に重なって邪魔をする。ツールが噛み合わない時間は、初心者ほど長く食われる

ついでに白状すると、その前にスケッチから抜けてしまって拘束パネルが消え、戻り方が分からず手が止まった場面もあった。こういう細かい詰まりこそ、後から振り返ると一番役に立つ。

細かい仕上げは、AIが締めた

そこで連載の軸どおり、対称の代わりにClaudeにfusion_execute(FusionをAPIで動かす仕組み)で締めてもらった。やったのは整列拘束と「端から8mm」の距離寸法。4つの穴は横32mm・縦52mmの四隅対称にそろい、Fusionが「完全拘束」と返した ― すべての線が黒になった。拘束の意味は私が理解し、時間を食う仕上げはAIに渡す、という分担がそのまま形になった

整列拘束と端から8mmの寸法で全穴が完全拘束され、すべて黒くなったスケッチ
【スクショ】整列拘束と端から8mmの寸法で全穴を完全拘束。すべての線が黒になった

AIが面倒な反復を引き受ける

仕上げと前後して、別のドキュメントではClaudeが板そのものを一括で作っていた。120×80×6mmの板に、四隅のM5下穴と、中央に直径6mmを20mmピッチで並べた8つの穴を、数十秒で形にした。手で穴を8個並べる反復は、AIが引き受ける部分だ。

補足: ここで「人がやる/AIがやる」を分ける基準は、難しさではなく意味の有無だ。穴の位置や径は人が決める(要件)。決まったものを並べる反復はAIに渡す。意味の判断さえ手放さなければ、自動化は怖くない。

Claudeが一括生成した板と8つの穴の3Dモデル
【スクショ】Claudeが板と8つの穴を一括生成した3Dモデル。手で穴を並べる反復はAIが引き受ける

今回の学び

スケッチの基礎は、突き詰めれば寸法と拘束で形を縛ることに尽きる。青から黒へ、等しい拘束で一括、対称が無理なら整列で代える ― どれも「形を一つに決める」ための道具だ。そして分業。意味は人、細かい仕上げと反復はAI。ゼロから始める人間でも、AIと組めば、つまずきをそのまま前進に変えられる

次回の予告

次はスケッチを立体にする。押し出しで板に厚みを与え、角にフィレット(丸め)や面取りを足していく。手数の多いフィレットの一括処理を、AIにどこまで任せられるかを試す予定だ。

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