設計データは会社の資産だ。ところがそれを守る道具の名前は、ファイアウォール、VPN、RAIDと横文字が並び、どれが何を守るのかが混ざりやすい。特にファイアウォールとVPNは、性質がまるで違うのに最も混同されるペアだ。この記事で役割をはっきり分ける。
まず全体像:何が何を守るか
| 道具 | 一言でいうと | 守るもの |
|---|---|---|
| ファイアウォール | 外と内の間の「壁」 | 外からの不正アクセス |
| VPN | ネット上の「暗号トンネル」 | 通信の中身(盗み見防止) |
| RAID | ディスクの「冗長化」 | ドライブ故障からデータ |
| ウイルス対策 | 常にチェック | 感染によるデータ損失 |
ファイアウォール:外からの侵入を防ぐ「壁」
ファイアウォールは、社内ネットワーク(LAN)と外部(インターネット)の間に立つ壁だ。外からの不正アクセスを遮断する。ただし重要な性質がある。壁は「外→内」を守るものなので、LAN内部の者による不正アクセスには意味をなさない。内部対策には、アクセス権限の管理や操作ログなど別の手当てが要る。
VPN:公衆回線の上に作る「暗号トンネル」
VPN(Virtual Private Network)は、インターネットという公衆回線の上に暗号化された通信路を作り、あたかも専用線のように利用する技術だ。Vは「Virtual=仮想」。本物の専用回線を引くのではないから、コストを抑えながら、拠点間や取引先とのやり取りを安全にできる。広域のイントラネットを仮想的に実現したもの、という説明がVPNの定義だ。
補足:区別のカギは「壁=ファイアウォール/暗号トンネル=VPN」。「不正アクセスを防止する」とあればファイアウォール、「専用線のように」「暗号化された通信路」とあればVPN。役割の動詞が違う――壁は遮る、トンネルは通す(安全に)。
RAID:ディスクが壊れてもデータを守る
RAIDは、複数のハードディスクを束ねて1つのドライブのように使う仕組み。たとえばミラーリング(RAID 1)では同じデータを2台に書き込むため、1台が故障してももう1台にデータが残る。バックアップと組み合わせて、データ保護の土台になる。
補足:データ損失の三大原因は「ウイルス感染・ハードディスクの故障・誤って消す」。故障に備えるのがRAID、全てに備えるのがバックアップ。重要なCADデータは必ずバックアップを取る。
FTP・SMTP・HTTP:プロトコルは役割で覚える
ネットワークの通信規約(プロトコル)も、役割と1対1で対応させれば迷わない。FTP=ファイル転送(工作機械のサーバへNCデータをアップロードする、ファイル一覧を取得する等)。SMTP=メール送信。HTTP=Webページの閲覧。「NCデータを送る」という文脈で出てくるのはFTPだ。
パスワード管理:試験でも実務でも同じ答え
基本は4つ。想像されやすい文字列(名前・誕生日)を避ける、文字数は長く、数字とアルファベットを併用する、そして紙にメモして貼らない。「忘れないようにメモしておく」は一見親切だが、漏えいの入り口になるので誤りだ。
まとめ:壁・トンネル・冗長化
外からの侵入には壁(ファイアウォール)、通信の中身にはトンネル(VPN)、ディスクの故障には冗長化(RAID)、そして何が起きても戻れるようにバックアップ。守る対象が違えば道具も違う。この対応を押さえれば、設計データの防御は言葉のレベルで整理できる。
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